車を運転中、対向車や前を走る車から小石が飛んできてフロントガラスやボディに当たり、ヒビや傷ができてしまった という経験はありますか。
最近はドラレコを搭載した車も多いので、被害の瞬間が映っていた!という方もあるでしょう。その映像をもとに相手が分かれば、相手に修理代を請求できるのでしょうか。
また高速道路での被害なら道路管理者にも責任を問えるのでしょうか。この記事ではそんな疑問にお答えしています。
相手に請求するには?
民法には、「不法行為にもとづく損害賠償」についての定めがあります
不法行為というのは、故意や過失にもとづく違法(法律違反)行為により、他人に損害を与えること。違法があって、初めて相手に請求することが出来るのです。
なお損害を受けた側が、相手に過失があったことを証明する責任(立証責任)があります。

では、今回のような「車で小石を跳ねる」ことは「故意や過失にもとづく違法」といえるのか、【道路交通法】で検証してみましょう
道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図るために制定された法律。道路交通に起因する障害を防止することも目的としいる。1960年(昭和25年)制定
道路交通法より
小石を跳ねるのは道交法に違反するのか?
道路交通法には、歩行者の通行方法から車両、路面電車の交通方法など様々な規定がありますが、自動車を走行させる際に道路上の小石に注意を払うべき義務は明記されていません。
ですから、相手が「安全運転の義務を怠り、小石を跳ねた」(故意や過失にもとづく違法があった)とは言えない、ということになります。

そうか。道路に落ちている小石全部を避けて進むなんて、不可能だよね・・・てか、前に進めないね(◎_◎)
ドラレコで相手の過失を証明して修理代を請求できるか?
相手に過失があることを立証するには、相手がそのまま運転を続けると危険な事態や被害が発生する可能性があることを事前に認識できたかどうか(予見可能性)、また予見できた場合、損害を回避するための義務を怠っていなかったか(結果回避可能性)がポイントになります。ですので、故意又は故意に近い認識の存在など特別の事情が認められない限り損害賠償の請求は難しいようです。
参考文献 教えて中日ナビより

上述の通り、仮にドラレコが前方の車または対向の車などが小石を跳ねた瞬間を捉えていても、「安全運転の義務を怠った」という証明にはならないわ。だから請求も難しいのね。

なるほど・・・というか、ドラレコで相手車両のタイヤが小石を跳ねるところまで捉えるのは、そもそも無理そうだね。
高速道路上なら、管理者に責任は問えるか?
では一般道はともかく、お金を払って走っている高速道路上での飛び石被害ならNEXCOなど管理会社に管理責任を問えるのでしょうか。
日本国憲法第17条には「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」と規定されています。
このことから、道路の管理瑕疵(本来あるべき機能や品質、性能、状態でないこと)による損害なら、賠償を求めることが出来ます。

どの程度のことなら「管理瑕疵」といえるの?

ケースバイケースだけど、舗装の陥没やくぼみ、路面の凸凹が原因で事故が起こったり、道路より上の斜面から落石があって車両に当たるなどすれば、「管理瑕疵があった」と言えそうね。

道路の小石はどう?

路面に小石があることで、道路の安全性を欠いているとまでは考えにくいから、「管理瑕疵」があるとは言えないわね。現実的にも高速道路上の小石をひとつ残らず取り除き、その状態を保つなんて不可能でしょう?

・・・それもそうだね。
まとめ
♦相手に請求するのは難しい
♦高速道路上でも管理会社に責任を問うのは難しい
♦そのままにしておくと車検に通らないことがある

なんだか 踏んだり蹴ったりだね。

そうね。運が悪かった、と思うしかないかも・・・。被害にあった場合は、とりあえず 早めに修理をしましょうね。
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