交通事故の過失割合って誰が決めるの?修正要素ってなに?を解説

弁護士 交通事故

交通事故で「100:0の事故」とか「8:2の事故」など耳にすることがあると思います。これは自分と相手、それぞれの過失(責任)の割合を表したものですが、でもいったい「過失割合」って誰がどうやって決めているのでしょうか

この記事では、過失割合は誰がどうやって決めているのか?そして、場合によって過失割合を修正できる「修正要素」とはなにか?ついても解説しています

はじめ君
はじめ君

そもそも「過失」ってどういうこと?

ちこ
ちこ

簡単に言えば、「不注意による あやまち」ね

はじめ君
はじめ君

だよね・・・! ところで事故の過失割合が「7:3で決まった」とか「100:0の事故だ」とか言うけど、それぞれの過失の割合って、誰がどうやって決めているの?

ちこ
ちこ

では解説しますね!

交通事故の過失割合って誰が決めるの?

交通事故が起きると自分と相手、どちらが交通違反および注意義務が大きかったのかを判断して責任の割合を決め、その責任の割合に応じて相手の損害を賠償することになります。

その交通違反注意義務違反の程度によって、過失割合の比率が決まるのですが、東京地裁やそのほかの裁判所で、交通事故を形態ごとにパターン化し、基準となる過失割合を発表しています。

それが「民事交通訴訟における過失相殺率等」(いわゆる判例タイムズ)です。現在、示談・調停・裁判などに広く用いられています。

ちこ

ちこ

保険会社の担当者も、この判例タイムズをもとに相手や相手保険会社と示談交渉を進めるのよ

はじめ君

はじめ君

じゃ、判例タイムズが過失割合を決めるんだね!そっか簡単だね!

ちこ

ちこ

それがそうでもないのよ。事故は千差万別で、判例タイムズに当てはまらない形態もあるの。その場合は個別事情に応じた判断が必要になるわ

はじめ君

はじめ君

そうなんだ

女の子 焦り

ちこ

もちろんパターンに当てはまることも多いけど、修正要素が加わる場合は、過失割合が変わってくるのよ

はじめ君

はじめ君

修正要素?なにそれ?おいしいの?

ちこ
ちこ

では次の章で解説しますね!

修正要素ってなに?

ちこ
ちこ

下記の図は事故のパターンの一例なんだけど・・・

はじめ君
はじめ君

あ、知ってる!出合頭事故ってヤツだね

出合頭事故 図出典元:ソニー損保 公式HP

ソニー損保 交通事故の過失割合

ちこ

ちこ

一時停止の標識がある交差点の事故では、標識がある側に8割の責任。そしてない側にも注意義務があるから、2割の責任があるのよ

はじめ君

はじめ君

うん。図の例だとAは、注意義務を怠ったので 2割の過失があるってことなんだね

ちこ

ちこ

でも、Aがスマホを操作しながら運転してたらどうかしら

はじめ君

はじめ君

えっ、それはヒドイ!「注意義務を怠った」どころではないね (゚Д゚;)

ちこ

ちこ

そうね。前を見て運転するのが当然なのに、スマホを見ているなんて論外よね。そういったときに、この例でいうとAの基本の過失割合に上乗せをし、その分Bの基本の過失割合を減らすのよ。これが修正要素

男の子 驚く

はじめ君

なるほどー

ちこ

ちこ

下に「一方に一時停止の規制のある交差点での事故」の修正要素を記載したので参考にしてね

「一方に一時停止の規制のある交差点での事故」の修正要素

速 度 等 AB同程度
の速度
A減速せず
B減速
A減速
B減速せず
B一時停止
後進入
基 本 A20:B80 A30:B70 A10:B90 A40:B60



Bの明らかな先入  *  *  *  *
A大型車 +5 +5  *  *
Aの著しい過失 +10 +10 +10 +10
Aの重過失 +20 +20 +20 +20
B大型車 -5 -5 -5 -5
Bの著しい過失 -10 -10 -10 -10
Bの重過失 -20 -20 -20 -20

引用:判例タイムズ

ちこ

ちこ

一般的に、スマホを操作しながらの運転や、酒気帯び運転、15km/h以上の速度違反は「著しい過失」、酒酔い運転や無免許運転、30km/h以上の速度違反は「重過失」になるの。”普通の” 前方不注視は、基本の過失相殺率に織り込み済みよ。

はじめ君

はじめ君

なるほど~

ちこ
ちこ
 

詳細や、そのほかのケースやなどは、ご加入の保険会社等に ご確認、ご相談下さいね!

賠償額はどうやって決まる?

交通事故には追突事故のような、一方に全面的な過失がある事故(いわゆる100:0の事故)のほか、双方に過失がある事故も多くあります

お互いに過失がある場合、民法 第722条2項で定められている「損害の公平な分担」の観点から、お互いの過失の割合によって、損害賠償額より、過失相当分を差し引くことで、損害の負担を公平にします

ちこ

ちこ

車同士の事故で衝突し、互いの車が壊れてしまった、AさんとBさんの例を見てみましょう。

  Aさん Bさん
損害額 50万円 60万円
過失割合 2割 8割
賠償責任額 A→B
60万円×2割=12万円
B→A
50万円×8割=40万円
支払額 12万円 40万円

Aさんは、Bさんの損害に対し過失相殺により、Aさんの責任割合2割を賠償することとなります。よって、Aさんは、Bさんの損害額60万円に対し、12万円を賠償します。

ちこ

ちこ

Aさんの損害額は50万円。相手から40万円もらって、残りの10万円は自分の負担ね

はじめ君
はじめ君

反対に、BさんはAさんから、12万円払ってもらい、残りの48万円は自分の負担なんだね!

相殺:債権・債務を差し引きすること

まとめ

★過失とは「不注意による過ち」

★過失の決め方は「判例タイムズ」を用いて判断するのが一般的

★過失割合が決まったら、お互いの過失の割合によって、損害賠償額より、過失相当分を差し引く(相手への賠償は自分の過失割合分のみ負担する)

ちこ
ちこ

いかがでしたか。事故があると分からないことも多く、不安になることも ありますよね。そんな時、この記事が少しでも皆様のお役に立てたら幸いです

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