自動車保険の保険金詐欺?!保険会社が行う調査とは?(体験記録)

探偵 tomoコラム

事故を起こして自動車保険を請求すると、場合によっては保険会社から「調査をさせて頂きたい。ご協力をお願いします」と言われることがあります

そんなことを言われたら「えっ調査ってなに?詐欺だとでも言うの?!」と、あなたは不愉快になるも知れません

ですが調査は、まずは単純に事実確認をする目的で行われます。「不愉快だから」と調査を拒否すると、いつまでたっても保険金は支払われません

この記事では、筆者(損害保険会社で勤務経験あり)の義母が実際に体験した「保険会社の調査」を記録しました。これから「調査」を受けられる方に、この記事がお役に立てれば幸いです。

車のドアで指を挟む

同居の義母の話です。その日、義母は老人会の日帰り旅行に参加しました。参加者は20人余り。車5台に分乗し出発。義母は、運転できないため、友人の車に乗せてもらいました

道中 事故もなく、旅行を楽しんだ一行は夕方に無事帰着。あとはそれぞれの家に帰るだけ。義母も友人の車から降り、左手でスライドドアを閉めました、が!その瞬間!右手の指先に激痛が!

義母は誤って右手中指をドアに挟んでしまったのです

中指はどんどん腫れてきますが、その日は日曜。湿布を貼って様子を見ます

次の日、指は大きく腫れて変色しています。しかし、我慢強い義母は「そのうち治るだろう」と病院へは行ってくれません

ですが・・・その予想と裏腹に、痛みも腫れも一向に治まらず、ついに病院へ

受傷から2週間たっていました

診断結果は「右手末節骨骨折」。右手中指の先の骨が折れていたのです。衝撃で欠けた骨が、元の骨から少し先に飛んで行ってしまう、遊離骨片も確認できました

人身傷害保険(自動車事故補償タイプ)の支払い対象!

私「お義母さん、大変だったけど、自動車保険の人身傷害保険(自動車事故補償タイプ)に入っているから、保険の請求をしてみない?負担した治療費が戻ってくるはずだよ」

保険会社(損保)勤務経験のある私は義母に保険の請求を進めました。

義母「えっ。でも自分の過失で指を挟んだだけだよ。それなのに自動車保険で保険が おりるの??」

私「そうだよ。自分の過失分を補う保険だからね。」

義母「ふーん。でも、そんなに大した金額を負担していないから 必要ないよ。」

私「そう?・・・わかった。」

・・・確かに。義母は後期高齢者。医療費の負担は1割なので、負担はわずかでしょう。

ただ負担した治療費のほかに、精神的損害(苦痛に対するお見舞金のようなもの)保険金も 補償されるから、それも含めると数万円くらいはもらえそうだけど・・・まあいいか。と、とりあえず義母の言う通りに

そして、一か月が経過

私「お義母さん、指の具合はどう?」

義母「まだ時々痛むけど、だいぶ いいよ。・・・でも指が前より動かなくなって。欠けた骨も、もう もとの位置に戻らないだろうって、先生に言われたよ。」

私「えっそうなの( ゚Д゚)・・・(そうすると、後遺障害14級くらいかな?・・・あ、完全に保険会社目線) 」

私「お義母さん、やっぱり保険を請求しよう。保険会社に連絡しとくからね」

義母「えっ。うん・・・」

受診

保険会社に報告

翌日保険会社に連絡。保険会社の担当 、庄司さん(仮名)より私に電話が入りました・・・

庄司さん「今回の件は、保険金の支払いの対象となる可能性があります。ただし警察への届出がありませんし、事故の日から2週間も経っての受診なので、調査が必要です。ご協力いただけますか」

私「えっ、調査ですか。でも車のドアに指を挟んだからって、警察へ届ける人は まず いないでしょう? 届出がなくて普通だと思いますが・・・あと受診に関しては「痛いけど、そのうち治るだろう」と、義母は我慢してしまっただけです」

と、少し反論。・・・でも、分かってます・・・整合性をとるために必要なんですね

庄司さん「ご面倒とは思いますが、調査は必要なことでして。ご協力いただけないと、保険金をお支払いするための準備ができません」

私「・・・わかりました。それでは義母に調査員との面談が必要、と伝えますね」

庄司さん「ありがとうございます。後ほど調査員から、スケジュール調整の電話をさせますね」

おおー、調査!保険会社 勤務時代に調査会社に調査を依頼したことがあっても、されるのは初めて!(ちょっとワクワク!)いいでしょう。体験してみましょう!

私「お義母さん、調査会社の調査員が当時の状況を直接聞きたいって。いつがいい?」

義母「えっ。調査なんてあるの・・・詐欺なんかしてないよ?」

私「うん。指を挟むなんて 車でなくても あることだし、実際にそういうことが どうやって起こったのか、確認したいのだと思う。お友達の車の写真も撮りたいって。私もついて行くから心配ないよ」

義母「・・・それなら、老人会の日に コミュニティーセンターに来てもらえば車もあるよ」

ということで、調査を受けることに。

保険会社の調査

当日。30代半ばくらいの普通の男性がコミュニティーセンターへやってきました。センター内の部屋へお通しし、ご挨拶。名刺もいただきました。そして、義母への聞き取りが始まります

調査員「よろしくお願いいたします。さっそくですが、お名前と生年月日を教えていただけますか。」「当日は、老人会の日帰り旅行だったそうですね。何時に どこから出発され、どこへ行かれましたか。」「車はどなたのですか。」「どの座席に座りましたか。」などなど

事故(指を挟む)に至るまでの経緯を時系列に聞かれました。時間にして15分くらいです。その後、指を挟んだ車を撮影したいと申し出があり、車の持ち主とともにと駐車場へ移動

調査員「では早速、写真を撮影をさせていただきますね」

調査員は車の撮影し始めました。車の前後左右からパシャパシャと数枚。うんうん。分かってますよ。原因車の特定をするために、ナンバーも写り込むように撮るんですよね

調査員「次にお義母さんと車の写真も撮ります。指を挟んだ時とドアの同じところに立って、指を挟んだ時の腕や指の位置を再現してもらえますか」

そして、義母プラス車の写真をパシャパシャ

調査員「はい。これで終わりです。ご協力ありがとうございました。追加で確認することが発生しましたら、お電話を差し上げるかもしれません。また保険金が下りるかは、保険会社から後日連絡が入りまので、よろしくお願いします」

義母「はい」

当日、調査にかかった時間は全部で40分弱。拍子抜けするほど普通の質問で、穏やかな雰囲気で終わりました

そして調査から10日ほどで、庄司さんから電話が入り・・・

「調査の結果、今回の件は保険金の支払い対象と確定しました。ご協力ありがとうございました。お義母様にもよろしくお伝えくださ。」という報告を受けました

まとめ

いかがでしたか。「調査します」と言われても、その事故が偽装や故意などでなければ 警戒することはありません。保険会社は一定のルールに基づき、保険金の支払いをしています。お支払い対象ならきちんと支払ってくれるはずです

今回の調査は、義母がケガをした日時やその経緯、該当車両の特定、どのようにして指を挟んだのか、起こった事実を拾い集め、当事者の話に不自然な点や、つじつまの合わない部分はないか検証されたのだと思います。(詐欺(偽装や故意)なら、どこか不自然な点やつじつまの合わない部分が出てきますからね)

調査は少々煩わしいと感じるかもしれませんが、スムーズな支払いを望むなら協力的な態度で臨み、分かることは正確に、分からないことは分からないと、ありのままを答えることをお勧めします

ちなみに我が家が加入していた保険会社は通販型でした。代理店型と変わらず、親切で丁寧で、保険金の支払いもスムーズだったことを ご報告しておきます

コメント

タイトルとURLをコピーしました