車両保険は保険金額を上限とし、契約車両を事故直前の状態に復元するための修理費を補償するもの。ですが、約款には「必ず修理をしなくてはならない」とは書かれていませんので修理をしなくても保険金を受け取ることは可能です
この記事では、修理せずに車両保険金を受け取る場合に注意すべき点や、なるべく多く受け取れるようにする方法を解説しました

実は先日、自損事故をして・・・ケガはなかったけど、車の修理が必要になったんです

ケガがなくて良かったわ。車両保険は一般タイプ※をつけてたわね?
※車両保険には2種類あり、補償の範囲が広いもの「一般」タイプと補償の範囲が狭いもの「危険限定」タイプがあります。ここでは「一般」タイプ、「危険限定」タイプと呼んでいますが、保険会社によって呼称に違いがあります

はい。でも古い車なので、修理せず車を買い替えたほうがいいような気もして・・・せっかく保険に入ってたんですけど・・・

修理をしなくても保険金は受け取れますよ!しかも受け取った保険金の使い道は自由!買い替え費用の一部にしても、生活費にしちゃってもOK。

ええっ?!買い替えはまだしも、生活費って??

修理をせずに保険金を受けとり、その車に乗り続けることも可能ですよ!ただし、同じ個所に再び損傷を負った場合は、重ねて保険金を受け取ることはできませんのでご注意願います!
車両を修理する場合の損害額の決まり方
事故報告を受けた保険会社は、車両の修理先に連絡をし、損傷の程度や状態を聞き取ります。「写真査定」で問題ないと判断されれば、修理工場から写真と見積もりを取り寄せ、それをもとに損害額を決めていきます
一方、「立ち合い」が必要と判断されれば、技術アジャスター(損害調査員)が修理工場へ出向き、写真を撮り、見積もりも作成。修理工場の見積もりも参考にしながら、損害額を決めていきます
どちらの場合も、保険会社は修理工場と修理費のすり合わせを行い、最終的に修理工場と合意が出来れば、その金額が損害額となります。これを「協定金額」と言います
相手のある事故で相手に過失がある場合は、相手保険会社が契約車両を査定します。その場合でも、修理せず 「修理相当額(時価額上限)×相手の過失割合分」の受け取りが可能です
相手のある事故で相手に過失がある場合は、相手保険会社が契約車両を査定します。その場合でも、修理せず 「修理相当額(時価額上限)×相手の過失割合分」の受け取りが可能です
車両を修理しない場合の損害額の決まり方
修理しないで保険金を受け取る場合、保険会社は車両の損傷の程度や状態を聞き取り、問題ないと判断すれば「写真を撮り、メールまたは郵送してください」と指示をしてくるでしょう
あるいは「立ち合い」が必要と判断すれば、平日の日中、契約車両のある場所へ保険会社のアジャスターが車を見に来ることもあります
いずれの場合も見積もりは保険会社が作成します
なるべく多く受け取るには修理工場などに間に入ってもらう

修理工場と協定した場合に比べ、保険会社の算出する損害額は、金額が低めになることがあるわ
これは、例えば、部品を取り換えるのか板金するのか、塗装の範囲をどこまでにするか、工賃をいくらにするかなど、本来なら修理工場とすり合わせをする工程を省くことで違ってくるからなの

えっ、どうせ保険を使うなら、少しでも金額が多い方がいいけど・・・

そうね。もし次の車の購入先が決まっていれば購入先に、
懇意にしている修理先やディーラーがあればそこに
保険会社との「協定」のお願いをしてみてはどうかしら?

うん。さっそく購入先を決めて、修理費の協定をしてもらえるよう頼んでみるよ!
消費税について
修理をしないのであれば消費税も発生しませんから、消費税をカットする保険会社が大半です。ただし、消費税まで支払ってくれる保険会社も少数ではありますが、存在しています
免責金について
免責金とは自己負担額のこと。車両保険をかける際に設定します
分損の場合は「協定金額」または「損害額」より「免責金」を差し引いて保険金をお支払いしますが、全損の場合は「免責金」を差し引きません
車の所有権について
全損で車両保険を使う場合、車の所有権は保険会社に移転します。つまり、保険金額の満額を受領すると、車は保険会社のものになります
もし、どうしても車を手元に残したいのであれば、車の残存価値(スクラップ)分を保険金から差し引き、車を引き揚げないでいてくれる保険会社もあります

全損で相手からの賠償を受ける場合も、車の所有権は相手保険会社に移行します。ただし保険会社がその権利を放棄する場合も多いようです
保険使用による等級ダウンについて
保険を使用すると次年度の等級や事故有係数適用期間が変わることで、割増引率にも影響が出てしまい、次年度の保険料が高くなります
保険を使うと、どれくらい保険料が高くなるの?シミュレーションはこちら

保険を使った方が得なのか、そうでないのかは、保険会社の担当者もシミュレーションしてくれますが、車を買い替える場合は注意が必要です。なぜならそのシミュレーションは現在の車での試算だからです。車が変われば当然保険料も変わり、シミュレーション結果も変わることがあります。
まとめ
車両保険
・契約車両を修理しないで車両保険金を受け取ることは可能
・修理しなくても、保険金を受け取れば等級はダウンする
・次の車の購入先等に保険会社との「協定」を依頼した方が、認定金額が高くなる可能性がある
・消費税はカットする保険会社が多い
・受け取った保険金の使途は自由
・全損の場合は契約車両の所有権は保険会社に移行する
相手からの賠償
・相手からの賠償を受ける事故でも、車両を修理せず、賠償金を受け取ることは可能
・消費税はカットする保険会社が多い
・受け取った保険金の使途は自由
・全損の場合、所有権自体は保険会社に移行するが、保険会社が代位する権利を放棄する場合もある
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